京都では一部のマナーの悪いカメラマンの影響もあり、写真撮影に対する風当たりが日に日に強まっています。
この記事では、京都で写真を撮る前に知っておくべきことをまとめておきます。
三脚、一脚は原則使用禁止
お寺や神社の境内では三脚が使えないことが多い
京都の主要な観光地(特にお寺の境内)では、ほぼどこへ行っても三脚(一脚も含む)の使用が禁止されています。特に、靴を脱いで上がった室内で三脚が利用できる場所はほぼありません。
これは長時間狭い通路を占領する人がいたり、三脚の足が立ち入り禁止エリアに踏み込んで苔を荒らしたりといったトラブルが頻発したことが原因の一つとなっています。
著名な観光地で自由に三脚が使えるのは、2019年現在 東寺、平等院鳳凰堂、伏見稲荷大社などごく少数の場所しかありません。
平時は三脚の使用が認められている場所でも、桜、紅葉、ライトアップなど混雑が激しい時期は使用が禁止されることがあります。
紅葉の名所としても知られる嵐山の宝筐院では、三脚を持っている人の立ち入りすら禁止されています。
これは入り口で三脚は使わないと約束したにもかかわらず、関係者の目を盗んで三脚を使用する輩が後を絶たなかったためです。
宝筐院の公式HPは、京都に行く前に是非一読しておくことをおすすめします。全てのお寺がこういうスタンスではありませんが、京都の神社仏閣の関係者がいかにカメラマンに対して神経を尖らせているかがよく分かる内容となっています。
三脚が使えない場所では入り口に注意書きが書いてあることが多いですが、注意書きがない場所でも拝観料を払う時に三脚が使えるかどうかの確認をとるよう心がけましょう。
道では三脚が使えるが…
神社仏閣の境内のような私有地でなければ、三脚を使って写真を撮影することは可能です。
ただし有名な撮影スポットは人の往来が激しいので、道のど真ん中に長時間三脚を立てて居座ったりするのは周りの迷惑になります。
嵐山の竹林や産寧坂の周辺、伏見稲荷大社などは時間に関わらず自由に歩くことが出来るので、写真撮影が目的ならば人の少ない早朝を狙うといいでしょう。
写真撮影禁止の場所もある
写真撮影の可否は毎年かわっている
写真撮影が禁止されている場所もいくつかあります。
京都屈指の紅葉名所「東福寺」も2016年より紅葉シーズンの写真撮影に制限が設けられ、通天橋と臥雲橋の上での写真撮影が禁止になりました。
しかし2019年は混雑する日を除き再び臥雲橋の上での写真撮影が解禁されましたが、一方で鷹峯の光悦寺の参道が紅葉シーズンの写真撮影禁止になっていました。
また醍醐寺の三宝院のように以前は写真撮影禁止だった場所がカメラOKになったり、一時期紅葉シーズンの写真撮影お断りにしていた鷹峯の源光庵が再び撮影できるようになったりと、写真撮影を巡る状況は年々変化しています。
どうしても写真撮影をしたい場所がある場合、出かける前に電話などで直接確認をとるのが確実です。
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主な写真撮影禁止のスポット
- 清水寺 成就院の「月の庭」
- 岩倉 実相院の「床もみじ」
- 大徳寺 大仙院
- 大徳寺 黄梅院(前庭は撮影可)
- 大徳寺 真珠庵
- 冷泉家住宅
など
東山の石塀小路や祇園南の私道も近年になって撮影禁止となってしまいました。
なお、このサイトの観光名所ガイドではそれぞれのお寺や神社について三脚の利用可否、写真撮影の注意事項などについても記載しているので、ぜひ出かける前に参考にしてください。
堂内、仏像は撮影禁止
お寺のお堂内部や安置されている仏像に関しては、文化財保護の観点から写真撮影が禁止されていることが多いです。
三十三間堂などは見張りも厳しく、カメラをぶら下げているだけで呼び止められることもあるので、撮影禁止の場所ではスマホを取り出すのを自重したりレンズキャップを装着したりしてルール違反を疑われないように自己防衛しておくことも大事です。李下に冠を正さず。
襖絵なども撮影禁止が多い
縁側から庭へ向かってカメラを向けるのはOKだがその逆はダメ、という場所が多いです。具体的には、以下の写真のような向きはOK 、反対向きはダメ、ということです。
よって部屋に配置された襖絵や天井絵などは写真撮影ができないと思っておいたほうがいいでしょう。
祇園にある建仁寺のように、国宝の襖絵などがすべてレプリカに取り替えられている寺院では、建物内でも撮影させてもらえることもあります。
京都で写真撮影をする際の心得
写真撮影だけを目的にしない
上でも紹介した宝筐院の公式サイトを読んでいただいたら分かりますが、神社仏閣の関係者の方々は、写真を撮るためだけに来た、御朱印だけもらいに来た、といったような礼節を欠いた観光客に心を痛めています。
神社やお寺はあくまでも御祭神や仏様に参拝する宗教施設であるということを忘れてはいけません。その場所の歴史や文化に敬意を払うのを忘れないようにしましょう。
広角ズームがあると便利
広角レンズは、特に庭園を撮影する際に力を発揮します。庭園を眺める縁側の通路は狭いことが多く、物理的に距離を取ることが困難です(立ち入り禁止エリアを踏み越える悪質なカメラマンが後を絶たない理由の一つでもある)。
広角レンズがあれば、距離をとるのが不可能な場所でも構図の選択肢が広がります。
加えて、立ち入り禁止の区画が多い京都の観光地では、予めロケハンをしておかないと単焦点レンズ一本槍では厳しいです。ズームレンズを常用にした方がいいでしょう。
またライトアップは昼間より周囲の人の映り込みが気にならないので、写真に拘る人にはチャンスでもあります。手持ちでの夜景撮影に役立つ機器を持っていくことをおすすめ。
一番撮りたい場所を朝イチに訪れる
繁忙期の京都の混雑はとてつもないため、人が比較的少ない拝観開始直後が撮影に適した時間となります。ただ京都の観光地は山際に多く点在しており、紅葉シーズンなどは朝早いと日が当たらない場所もあります。
日当たりの良さと人の写り込みはトレードオフになると考えておきましょう。
また道の写真であれば、観光客がいなくなる17時以降も狙い目。
時間に関わらず立ち入りができる場所の写真撮影は、日の長い夏場がオススメです。
舞妓さん、芸妓さんに迷惑をかけない
夕方に祇園界隈を歩いていると出勤途中の舞妓さんに遭遇することもあります。
近年、舞妓さんの写真を撮ろうと追っかけまわしたり、ひどい場合は手を引いてひきとめたりと悪質な事例が相次いで大変なことになっており、カメラマンは一層の配慮が必要です。
まとめ
繁忙期の京都のカメラ事情は年々悪化しています。今年の紅葉シーズンだけでも
- 写真撮影禁止の注意書きの前で平然と撮影をする人
- 撮影のマナー違反を注意するスタッフの怒号が響き風情が台無し
- 一言目から「ちょっとそこどいてくれる!?」と怒鳴り散らすスマホカメラおばさん
- 三脚使用を注意されて逆ギレするカメラおじさん
など、毎日のように恥ずかしい状況に遭遇しました。
撮影禁止の問題は、一部の悪質な人間は結局ルールを破ってでも写真を撮り、結果その他大勢のまともなカメラマンが写真を撮れなくなる、という非常にやりきれないものです。京都に限らず、写真を撮る際にはマナーを守り、こうした撮影禁止の流れを食い止められるよう努めたいところですね。
近年京都の混雑回避は朝がいい、という情報もかなり周知されてしまってきており、紅葉シーズンの東福寺や永観堂では拝観開始前から1000人近く並んでいることもあるため、時期によってはもはや朝から並んでも時間を無駄にするだけになってしまった場所もあります。