建仁寺の概要
平安時代末期から鎌倉時代にかけて、京都では天台宗(延暦寺など)と真言宗(東寺など)が大きな力をもっており、新たな宗派の寺院の建立が憚られていた。
そんな状況の折、宋から帰国した栄西(えいさい、ようさい)は源頼家の後ろ盾を得て、建仁二年(1202)に建仁寺を創建。
寺名は開創時の元号に由来し、伽藍は中国の百丈山を模して造営された。
創建当時は延暦寺などの影響もあり天台・真言密教・禅の三宗建学としていたが、十一世 蘭渓道隆(らんけいどうりゅう)の頃から臨済宗の禅寺となる。
室町時代には京都五山に列せられるなど大いに興隆。特に詩や文芸に傑出した名僧を多く輩出し、これらの作品は五山文学とも称された。
建仁寺の見どころ
繁華街の中にある伽藍
建仁寺は祇園 花見小路通の南側に位置しており、繁華街の近くでありながら広い境内に木造建築が立ち並ぶ様子は壮観である。
度重なる火災、戦乱により創建当時の伽藍は残っておらず、現存する建物はすべて後に再建、移築されたもの。
- 法堂:明和二年(1765)の建立で「拈華堂(ねんげどう)」とも呼ばれる。
- 三門:大正十二年(1923)に静岡の安寧寺から移築したもので、「望闕楼(ぼうけつろう)」と名付けられた。
- 勅使門:鎌倉時代後期のものといい、戦乱時の矢傷が生々しく残ることから「矢立門」、「矢の根門」と呼ばれる。平家の邸宅の遺構という説もある
- 方丈:慶長四年(1599)に広島の安国寺から移築。
- 茶室「東陽坊」:天正十五年(1587)に豊臣秀吉が主催した茶会で千利休の高弟 東陽坊長盛が好んだと伝わる茶室。大正時代の移築。
庭園
建仁寺の方丈前にある「大雄苑(だいおうえん)」は白砂、苔庭、巨石からなる枯山水。
本坊にある「潮音庭」、「○△□乃庭」はあらゆる角度から鑑賞できる四方向正面の中庭である。
潮音庭は例年12月初旬に見頃を迎える遅めの紅葉スポットとしても知られる。
著名な美術品のレプリカ
建仁寺は俵屋送達筆「風神雷神図屏風」、海北友松(かいほうゆうしょう)の「雲龍図」、「花鳥図」、「竹林七賢図」、「山水図」など数々の寺宝を所有している。
現在は京都国立博物館に管理を委託しており、建仁寺で鑑賞できるものはキヤノンの技術による複製品。
レプリカではあるが、京都の寺院では珍しく堂内でも写真撮影ができる。
法堂の天井画は平成十四年(2002)に創建800周年を記念して描かれた小泉淳作筆「双龍図」。
仏教において龍は恵みの雨をもたらす存在として信仰されており、寺院の天井絵として頻繁に龍が描かれるのは火災除けのためだという。
日本のお茶の起源
開山の栄西は日本禅宗の祖としてだけでなく、中国から茶種を持ち帰ってお茶を広めた「茶祖」としても名高い。
毎年4月20日の開山記念日には伝統的な禅院茶礼を現在に伝える「四頭茶礼」が催される。
写経・座禅体験
建仁寺では写経、座禅体験を実施。
写経は予約不要で料金は1000円。
毎月第二日曜日には午前8時から坐禅会「千光会」が行われる。料金は無料、個人の場合は予約も不要。
建仁寺 写真撮影の注意事項
2023年より風景のみ撮影OK、許可を得ずに「人を被写体としたポートレイト撮影は禁止」になりました。
建仁寺の混雑
人の多い祇園、繁華街にあるので混雑している日が多いが、境内、建物内は広いので煩わしいほどではない。
建仁寺の御朱印
300円。
建仁寺のアクセス
住所と地図、経路のリンク
- 〒605-0811 京都府京都市東山区小松町584( →地図でみる)
- →現在地から建仁寺の経路を表示
- →京都駅から建仁寺の経路を表示
電車 バス
- 京阪電車「祇園四条駅」徒歩10分
- 阪急電車「河原町駅」徒歩10分
- 市バス(系統:80、86、202、206、207)「東山安井」徒歩5分
駐車場
北門(花見小路通)の前にコインパーキングがあるが、祇園周辺は人が多く観光客が車で近づくのは控えたほうがよい。
建仁寺の基本情報
- 名前:けんにんじ / kenninji
- 創建:1202年
- 山号:東山
- 開山 / 開基:栄西 / 源頼家
- 宗派:臨済宗建仁寺派大本山
- 本尊:釈迦如来
- 公式情報:https://www.kenninji.jp
- 観光エリア:祇園・八坂神社・青蓮院
- 住所:〒605-0811 京都府京都市東山区小松町584( →地図でみる)
- 電話:TEL:075-561-6363
- 受付時間:10:00 ~ 16:30(11月 〜 2月は 16:00) / 4/19、4/20、6/4、6/5は拝観不可 / 不定期の法要による拝観謝絶日あり
- 拝観料:境内自由 / 600円
- 所要時間の目安:1時間 〜 1時間30分