行楽シーズンの京都観光で一番やってはいけないNG行動が、車で京都市内の観光地を回ろうとすることです。
特に桜や紅葉、ライトアップといった行楽シーズンに車で京都市内を移動しようとすると、最悪の場合何もみることが出来ずに終わる可能性もあります。
この記事では、なぜ京都旅行で車を使うべきでないかを詳しく紹介します。
例外的に夏(祇園祭の山鉾巡行と五山の送り火の当日を除く)と冬の京都は日本人観光客が比較的少ないため車で回ることもできますが、有名な観光地でも駐車場がなかったり停められる台数が少なかったりするため注意が必要です。
京都の渋滞について
一番の問題は、やはり市内各所で発生する渋滞です。
そもそも交通量が多い
京都市内は決して交通の便が良いとは言えず、車を所有している地元民は頻繁に自家用車を利用しています。日中は滋賀や大阪方面からマイカーや商用車が雪崩れ込んでくるため、そもそもの交通量が多いのです。
加えて、日本有数の観光地である京都にはタクシーやバスが大量に走っているため、平時ですら道路の混雑状況は酷いことになっています。
桜や紅葉の行楽シーズンは、それらに加えて府外の観光客が車で押し寄せるので市の中心部の道路網は完全にマヒしてしまいます。
四条通の一車線化
四条通は京都市内を東西に走るメインストリートの一つで、特に八坂神社へ繋がる東側は京都で一番の繁華街となっています。
京都の行政はマイカーを使わない観光を推進しており、歩行者の安全対策としてこの四条通の歩道を拡張して片側一車線道路にするという政策を実施しました。
確かに歩道は拡張され歩きやすくなりましたが、一方で狭くなった道路の渋滞は酷いことになっています。
それだけではなく、歩道からバス待ちの人が溢れないようにという理由で、一車線道路なのに道路側にせり出す奇天烈な構造のバス停を作ってしまい、これが渋滞に拍車をかけています。双方向ともに交通量があるので追い越しも容易ではなく、また歩行者往来用の信号もたくさんあることから四条通周辺の道路は大変なことになっているのです。
混雑を避けようとした地元民が抜け道に殺到して、抜け道が大渋滞といった現象も発生しました。
東大路通
東大路通は京都市中心部の東側にある大通りで、そのすぐ脇には清水寺、産寧坂、三十三間堂といった観光名所がズラリと並んでいます。
名神高速 京都南ICから清水寺方面へ行こうとすると、カーナビが東大路通を北向きに走るよう案内してくれると思います。
東大路通は片側二車線ありますが、高台寺などの観光地に入ろうとする車で右車線が塞がれてしまい、かといって左車線はタクシーやバスの路上停車があるため、この道を進むにはジグザグに車線変更をするという酷い運転を強いられます。
あろうことか、京都の行政はこの東大路通も一車線化することを検討してきましたが、四条通の惨状をみて断念することとなったようです。
京都東ICから京都市中心部への道
名神高速 京都東ICは、主に名古屋、東京方面から車で京都へ来た人の玄関口となる場所です。しかし、京都東ICから京都の中心部へ繋がる道は三条通と五条通の2つしかありません。
この2つの道路は滋賀と京都を行き来する人が日常的に利用する道路なので平時でも混雑しており、行楽シーズンは大渋滞となります。京都南IC方面と違って使いやすい抜け道もほとんどないため、避けようがありません。
清水寺の悲劇
桜や紅葉シーズンに車で京都観光に訪れた人を地獄に陥れるハマりスポットの1つが、世界遺産 清水寺です。
車で清水寺へ向かうには、東山五条の交差点から五条坂を上っていき、途中にある市営駐車場に車を停める必要があります。
しかし、繁忙期の京都でこの駐車場に空きがあることはまずないので、結局そのまま進んで清水坂を清水寺とは反対側に降りるはめになります。
スムーズに降りることが出来れば良いのですが、実際には清水坂の下にある上記の東大路通も大混雑になっていて車がほぼ進まないため、完全に渋滞の中でスタックしてしまいます。
清水坂は一歩通行ですし、五条坂はせまくUターン不可能なので完全にハマってしまうのです。
しかも渋滞で動けない横を徒歩で訪れた観光客が次々と通り過ぎていき、さらし者のようになってしまうという恐ろしさ。渋滞にハマり車の中で険悪な雰囲気になっている観光客というのは、京都に住んでいるとよく見る光景の一つです。
観光地周辺の道路に人があふれている
清水寺、金閣寺、伏見稲荷大社など著名な観光名所の周辺では、観光客が道路にはみ出して大変な混雑になっていることが多く車で近づくのは非常に危険です。
また有名な嵐山の竹林や東山のねねの道など、実質歩行者天国化してしまっている道にカーナビに案内されるがまま車で突っ込んでしまい身動きがとれなくなっている人もよく見かけます。
駐車場に入れないと大変なことになる
一番マズイのは、駐車場に入れなかった時です。
駐車場に空きがない
観光地に併設された駐車場を繁忙期に確保することは困難です。周辺のコインパーキングもどんどん埋まってしまうので、駐車場が満車→渋滞の中、駐車場を探す→満車…の無限ループに陥る可能性が高いです。
京都随一の紅葉名所である東福寺や床もみじで有名な実相院、源光庵のように、紅葉シーズンは駐車場を閉鎖している観光地も増えています。
駐車場の空き待ちも禁止
観光地の駐車場では、満車時の空き待ちも禁止されていることが多いです。運良く入れ違いで入庫できない限り、そのまま入り口を素通りして渋滞の中に放り出されることになります。
バスの利用も工夫する必要がある
そもそも道路が混雑するのですから、何の考えもなくバスに乗ってしまうと大幅に時間をロスする可能性があります。特に上で紹介した四条通を通る系統はなおさらです。
ガイドブックには「京都駅から市バス◯×系統で△×バス停で下車」、といった観光地へのアクセス方法がよく掲載されていますが、一部の例外を除き京都駅からバスに乗るのは時間、混雑の両面で悪手になります。
朝イチでバスに乗り混雑する前に中心部を離れる、あるいは市の中心部では地下鉄や電車を使い、少し離れたエリアではバスを使う、というのがスムーズな旅程をこなすコツになります。
地下鉄、バスの1日乗車券を活用すると交通費も節約できます。
例外:車がないとアクセスが難しい京都の観光名所・エリア
以下で紹介する名所やエリアは車がないとアクセスできないため例外となります。
正寿院(風鈴寺)
正寿院は、2010年代に再建された客殿にあるハート型の猪目窓と天井絵で人気の寺院。
夏には風鈴祭りが催され、風鈴寺の通称でも知られています。
バスが少ない上乗り継ぎの時間が難しいため、車でのアクセスを推奨。宇治の世界遺産 平等院鳳凰堂周辺から車で50分弱程度です。
楊谷寺(柳谷観音)
楊谷寺は清水寺を開山したことで知られる延鎮によって創建された古刹。
近年は観光に力をいれており、あじさいや紅葉も人気の寺院となっています。
最寄りのバス停からも徒歩40分程度かかるため、車がないとアクセスが難しい寺院の一つです。
柳谷観音を含め、長岡京市、向日市、西京区(大原野神社周辺など)は車の観光がおすすめです。
志明院
志明院は役行者が開山し弘法大師 空海が創建した真言宗の寺院。
京都を潤し続ける鴨川(賀茂川)の源流にあたり、歴代の天皇も清浄な水を求めて祈願を行った神聖な場所として知られています。
バスが1日1往復しかないため、車以外ではほぼアクセスできません。
京北エリアと奈良に近い木津川エリア
京都市の北側 常照皇寺などの寺院がある京北・周山エリア、京都府南部で奈良に近い木津川・京田辺エリアの観光も車がほぼ必須となります。
スムーズな京都観光を実現するために
朝早く駐車場を確保して電車に乗り換える
繁忙期や週末に車で京都を訪れる場合は、朝早く到着して駐車場を確保する、というのが基本です。
到着が遅れてしまうと、平時でも駐車場を見つけるのに苦労することもあります。観光地も朝方は空いているため、混雑回避の意味でも朝早く動き始めることは重要です。
京都 パークアンドライドにおすすめの駐車場
車を停める駐車場は、「京都駅の南側、イオンモールの周辺のコインパーキング」、「二条駅の西側にあるコインパーキング」、頂妙寺の有料駐車場がおすすめ。
京都駅周辺は駐車料金が高く休日は上限料金がない場所も多いですが、南側のイオンモール周辺(京都駅まで徒歩5分強)には上限料金が1000円台で駐車できるところがまだ数多く残っています。
二条駅の西口前にも上限料金のある広い駐車場があります。二条駅はJRと地下鉄が通る京都の主要駅の一つでバス停も多いので、電車やバスへの乗り換えもスムーズです。
また京都で一番の繁華街に近い三条駅(地下鉄東西線、京阪電車)から徒歩圏内にある頂妙寺の駐車場もおすすめ。
境内北側の二条通に有料駐車場入り口があり、参拝者以外でも利用が可能。昼間は入り口に管理人が常駐、夜間はゲートが閉まるため、コインパーキングに愛車を置きっぱなしにしたくない人に最適。
30分150円。24時間上限1200円。
6時から23時まで入出庫が可能、大型バスが入庫できる(※ 大型車は事前に要問合せ)程度の広さもあります。
予約できる駐車場を利用する
どうしても到着が遅れる場合、駐車場予約サービスを使って出発前に駐車場を確保しておくのもおすすめ。
一般的なコインパーキングより相場が安いところが多く、1日借りなら車の出し入れが自由なのもポイントです。
滋賀に車を停めるという選択
実は滋賀県と京都府の中心地は意外に近く、滋賀の大津、または草津に車を置いて電車で京都へ向かう、という選択肢もあります。
- 大津駅から京都駅:2駅10分
- 草津駅から京都駅:7駅20分
大津、草津にも名神高速のICがあるため、特に繁忙期の帰りは確実に早く京都から脱出できます。
京都旅行の基本は電車+徒歩、または自転車
車もバスも使えないとなると、頼りになるのは電車かレンタサイクルです。見たい場所をいくつか決めて、その周辺の観光地も徒歩でいっしょに回るのがおすすめ。
バスを使う場合は、上記の通り中心部から少し離れたバス停を利用するのがポイント。
レンタサイクルであればより広範なエリアを移動できますが、天候に左右されるなどのリスクもあるので注意しておきましょう。
近年、清水寺周辺は紅葉シーズンの土日祝日のみ一般車両進入禁止になりました。