南禅寺の概要
禅林寺(永観堂)周辺の景色に心惹かれた亀山天皇は、文永元年(1264)に母 大宮院の御所として離宮禅林寺殿(ぜんりんじどの)を造営した。
その後天皇は東福寺の無関普門禅師(大明国師とも)に帰依して法皇となり、正応四年(1291)に離宮を禅寺に改めた。これが南禅寺のはじまりである。
建武元年(1334)には京都五山の第一に、さらに足利義満によって「五山の上 別格」とされ数多くの高僧を輩出。
幕府と深く結びついた南禅寺は室町時代に興盛を極め、応仁の乱(1467 〜 1477)で焼失後も江戸幕府によって再興されるなど武家から篤く信仰されていた。
しかし明治維新がはじまると、江戸幕府とつながりの深かった南禅寺は冷遇され寺領も大幅に縮小されてしまう。
ほどなくして京都の一大事業である琵琶湖疏水が完成してこの地に水がもたらされると、一転して山県有朋をはじめとした明治政府の役人らがこぞって別荘を建設し、かつての南禅寺境内は富裕層の別荘庭園群に生まれ変わった。
一般拝観できる無鄰庵はその一つである。
南禅寺の見どころ
無料でも楽しめる新緑、紅葉の名所
南禅寺の境内は無料で開放されており、紅葉シーズンは早朝から夕暮れまで多くの参拝者で賑わう。
紅葉だけでなく新緑も見事であり、春の朝は静寂の中で若葉の瑞々しさを堪能できる。
近くにある哲学の道と一緒に早朝散策をするのがおすすめ。
三門と眺望
南禅寺のシンボルである巨大な三門は、寛永五年(1628)に大坂夏の陣の戦没者慰霊のために寄進、建立されたもの。
楼上には左京作 釈尊像、十六羅漢像のほか、狩野探幽、土佐徳悦による極彩色画がある。
三門からの眺望は石川五右衛門の「絶景かな絶景かな」というセリフで有名。
ただし石川五右衛門は三門完成前の1594年に亡くなっており、あくまでも歌舞伎「楼門五三桐(さんもんごさんのきり)」という創作話の一節であることは知っておきたい。
水路閣と蹴上インクライン
三門と共に南禅寺を代表する景色が洋風の水路閣。
明治維新で首都が東京へ移り衰退していた京都を立て直すための一大事業「琵琶湖疏水」の一環として建設された。
橋上には現在も変わらず琵琶湖の水が流れている。
また水の落差が大きく船を運行できない区間に建設された蹴上インクライン(台車を転がすレール)の跡地も南禅寺のすぐ近くにあり、桜の名所として有名である。
国宝、重要文化財の建築物と庭園
現在の伽藍に残る建物はすべて江戸時代以降に再建されたもの。
- 大方丈:豊臣秀吉が寄進した旧正親町院御所(おおぎまちいんごしょ)の宸殿を移築したと伝わる
- 小方丈:伏見城の遺構とされる
- 法堂:明治四十二年(1909)の再建。以前のものは豊臣秀頼の寄進
- 勅使門:寛永十八年(1641)御所の「日の御門」を移築
方丈は国宝に指定されている。
方丈内には狩野元信、永徳、探幽らによる襖絵があり、特に探幽筆と伝わる「水呑の虎」は傑作として名高い。
また方丈にある「虎の子渡しの庭園」は江戸時代初期以降によくみられる形式の枯山水で、小堀遠州作と伝わる。
写経、座禅体験
南禅寺では写経や座禅体験ができる。詳細は公式サイトを参照。
別院、塔頭寺院の拝観
南禅寺周辺では南禅院、天授庵、金地院、最勝院の4つが通年公開されている。
別料金(最勝院は無料)だが時間があればぜひ参拝しておきたい。
南禅寺 写真撮影の注意事項
三脚、自撮り棒禁止。コスプレ撮影などは許可制。
建物内は庭園のみ、三門は外観と眺望のみ撮影可能。
南禅寺の混雑
人気スポットであり年中人が多いが、境内は広いためさほど煩わしくはない。
紅葉シーズンは朝の7時台から人が集まる。
南禅寺の御朱印
南禅寺と南禅院の二種類ある。
南禅寺のものは書き置きのみで300円。
南禅院の御朱印は授与所(南禅寺方丈拝観受付の横)で購入できる「水路閣の御朱印帳(1400円)」に書き置きされているもののみとなり、持参した御朱印に書いてもらったり、書き置きの紙だけを入手することはできない。
南禅寺のアクセス
住所と地図、経路のリンク
- 〒606-8435 京都府京都市左京区南禅寺福地町86( →地図でみる)
- →現在地から南禅寺の経路を表示
- →京都駅から南禅寺の経路を表示
電車 バス
- 地下鉄 東西線「蹴上駅(けあげ)」徒歩5分
- 市バス(系統:5)「南禅寺・永観堂道」徒歩10分
駐車場
参道前に駐車場、コインパーキングがある。
ただ人が多い上駐車料金も高いため、特に紅葉シーズンなどは車での参拝は控えたほうがよい。
南禅寺の基本情報
- 名前:なんぜんじ / nanzenji
- 創建:1291年
- 山号:瑞龍山
- 開山 / 開基:無関普門 / 亀山法皇
- 宗派:臨済宗南禅寺派大本山
- 本尊:釈迦牟尼仏
- 公式情報:http://www.nanzen.net
- 観光エリア:銀閣寺・哲学の道・南禅寺
- 住所:〒606-8435 京都府京都市左京区南禅寺福地町86( →地図でみる)
- 受付時間:8:40 ~ 17:00(12月 〜 2月は16:30) / 12/28 〜 31は拝観不可
- 拝観料:境内自由 / 三門 500円 / 方丈 500円
- 所要時間の目安:2時間