来迎院の概要
来迎院は、仁寿年間(851 〜 854)に慈覚大師 円仁(えんにん)が天台声明の道場として開山したのに始まる。
天仁二年(1109)融通念仏の開祖 良忍によって再興され、この頃より来迎院と呼ばれるようになった。
以降、来迎院は勝林院と共に声明・音律の中心地として盛え、全盛期には多くの僧や貴族が大原の里へ集い妙音を響かせていたという。
かつての来迎院は多数のお堂や宝塔が並び立つ大きな伽藍を有していたが、応永三十三年(1426)に火災で消失。
現在の本堂や鐘楼は室町時代のものだが、境内には鎌倉時代の鎮守堂、良忍の創建と伝わる如来蔵なども残る。
貴重な最澄の伝記資料である「伝教大師度縁案並僧綱牒(でんぎょうだいしどえんあん、ならびにそうごうちょう)」、良忍の自筆写本を含む来迎院如来蔵聖教文書類などの寺宝も所有している(一部は東博、京博などへ出品)。
なお京都には東山区にも同名の寺院があるのでナビや地図アプリを利用する際には注意が必要である。
来迎院の見どころ
藤原時代、鎌倉時代の仏像
来迎院の本堂内(写真撮影不可)では、本尊である薬師如来、釈迦如来、阿弥陀如来の三尊(藤原時代)、慈覚大師坐像(鎌倉時代と推定)などの仏像が鑑賞可能。
人も少なく、静寂の中で平安時代の匂いを感じることができる古刹である。
「ろれつが回らない」の語源
来迎院は三千院と同様、律川(りっせん)と呂川(りょせん)という2つの川に挟まれている。
これらの名前は声明の「呂旋法」、「律旋法」に由来している。
声明において呂と律の使い分けができないことを「呂律が回らない」といい、転じて舌がまわらずうまく喋れないことを「ろれつが回らない」と表現するようになった。
大原バス停から参道に沿って流れているのが「呂川」、三千院から宝泉院の方へ向かう際に流れているのが「律川」である。
来迎院 写真撮影の注意事項
三脚禁止。堂内撮影不可。
来迎院の混雑
空いている日が多い。
来迎院の御朱印
300円。
来迎院のアクセス
住所と地図、経路のリンク
- 〒601-1242 京都府京都市左京区大原来迎院町537( →地図でみる)
- →現在地から来迎院の経路を表示
- →京都駅から来迎院の経路を表示
電車 バス
- 京都バス(系統:10、16、17、18、19)「大原」徒歩15分
駐車場
大原バス停周辺に私営の駐車場がたくさんある。紅葉シーズンなど繁忙期を除けば停める場所がないほどには混雑していないことが多い。
朝早い時間は駐車場のスタッフが留守のときもあるが、集金箱に駐車料金をいれて停められる。ちゃんと自己申告すれば後払いでも怒られない。
料金の相場は終日500円程度(紅葉シーズンは数100円値上げする場合あり)。