無鄰庵の概要
鎌倉時代に創建された南禅寺は足利義満によって京都五山の上「別格」に位置づけられ、室町時代前半には強大な権力・莫大な財力を築いた。
その後南禅寺は応仁の乱(1467 〜 1477)によって荒廃するが、江戸幕府の支援により再び繁栄することになる。
しかし明治維新がはじまると幕府との結びつきが強かった南禅寺の寺領は大幅に削減され、また東京遷都により京都の町全体も疲弊してしまった。
そんな中で行われたのが琵琶湖の水を京都へ引き込む「琵琶湖疏水」事業であり、南禅寺の境内には水路閣が建設され疎水の通り道となる。
琵琶湖の水がもたらされたことで、かつての南禅寺の境内は富裕層の別荘庭園群として生まれ変わった。
無鄰庵は明治二十七 〜 二十九年(1894 〜 1896)に造営された山縣有朋の別荘であり、南禅寺界隈別荘群の中で一般公開されている唯一のものである。
2022年現在、無鄰菴の拝観は事前予約制。予約は→ 公式サイトから。
無鄰庵の見どころ
東山を借景とした自然主義庭園
無鄰庵の庭園は山縣有朋の指示を受け、七代目小川治兵衛(植治)によって作庭された。
白砂で海を表現したり、岩や苔で島を表現したりといった旧来の比喩的表現ではなく、川の流れ、もみじ林、モミの木など見たままの要素で里山の風景を再現した自然主義的庭園として知られる。
東山を借景とし、高低差を利用した奥行きのある眺めは近代日本庭園の傑作として名高い。
建物内にはカフェが開店しており、抹茶などで一服しながらゆっくり楽しむことができる。
洋館
日露戦争開戦前の明治三十六年(1903)、山縣有朋、伊藤博文、桂太郎、小村寿太郎の4人は無鄰庵の洋館で通称「無鄰庵会議」といわれる会談を行った。
洋館内では当時の会議室の様子がそのまま保存されている。
紅葉ライトアップ
無鄰庵は紅葉シーズンに夜間特別拝観のライトアップを実施。
例年11月中旬の3日間ほどと開催期間が短いので事前に→ 公式サイトを要確認。
ライトアップは年によって行われない可能性があります。必ず最新情報を確認してから訪問してください。
茶室
無鄰庵の庭園には明治二十八年(1895)頃に移築された茶室があり、有料で貸し切り利用ができる。
無鄰庵 写真撮影の注意事項
三脚禁止。
場所を専有するポートレート撮影は事前申請が必要(料金:3万円から)。
無鄰庵の混雑
空いている日が多く穴場の一つ。
紅葉シーズンは少し人が多くなる。またライトアップは1時間以上の待ち時間が発生することも。
無鄰庵のアクセス
住所と地図、経路のリンク
- 〒606-8437 京都府京都市左京区南禅寺草川町31番地( →地図でみる)
- →現在地から無鄰庵の経路を表示
- →京都駅から無鄰庵の経路を表示
電車 バス
- 地下鉄 東西線「蹴上駅(けあげ)」徒歩7分
- 市バス(系統:岡崎ループ)「南禅寺・疏水記念館・動物園東門前」徒歩5分
- 市バス(系統:5、46、急行100、急行110、岡崎ループ)「岡崎公園 美術館・平安神宮」徒歩10分
駐車場
なし。
近くの南禅寺の参道沿いには有料駐車場があるが、紅葉シーズンなどは車での参拝は控えたほうがよい。
無鄰庵の基本情報
- 名前:むりんあん / murinan
- 造営年:1894 〜 1896年
- 公式情報:https://murin-an.jp
- 観光エリア:銀閣寺・哲学の道・南禅寺
- 住所:〒606-8437 京都府京都市左京区南禅寺草川町31番地( →地図でみる)
- 受付時間:9:00 ~ 18:00(10月 〜 3月は17:00)
- 参観休止日:12/29 〜 12/31
- 入場料:600円
- 所要時間の目安:30分